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第19回 東葛・印旛大師講の史料(2) 講外の講元宅に保管されていた灯明料請取

更新日:2021年12月17日

 東葛・印旛大師講(とうかつ いんばだいしこう)巡拝(じゅんぱい)結願(けちがん)は、札所(ふだしょ)が存在している鎌ケ谷・柏・松戸・白井の4市内の約30地区の人たちが組合を結成して行っています。しかし、以前は、これらの地区以外に存在した別の大師講の人たちが参加することがみられ、これを講外(こうがい)とよんでいました。聞き取りにより確認できる範囲では、野田・関宿(せきやど)(いずれも現野田市)、行徳(ぎょうとく)(現市川市)、浦安(現浦安市)、小岩(こいわ)(現東京都江戸川区)からの参加者があったといいます。
 今回取り上げた史料は、講外の一つである旧川間(かわま)村(現野田市)の一心講(いっしんこう)(大師講)の講元(こうもと)(講の責任者)をつとめた家に伝わったものです。平成29年度に開催した第18回ミニ展示「東葛・印旛大師講again」に際して寄贈いただきました。

 この史料は、定形の和紙を横折りしてさらに半分に折ったものを()じたもので、横半(よこはん)とよばれる形式です。そしてその内容は、一心講の人たちが東葛・印旛大師講の人たちとともに巡拝し、おそらく宿(やど)や結願でお世話になった地区に対して灯明料(とうみょうりょう)(「灯明」は神仏にお供えする灯火。したがって用意してもらった灯火に対するお礼の金銭の意味)を納めた際、その地区の講世話人が記した受取(うけとり)を連年書き足していったものです。今から110年前の明治44年(1911年)5月1日の印旛郡名内(いんばぐんなうち)(現白井市)から始まり、平成12年(2000年)5月5日の(いずみ)(現柏市)で終わっています。したがって、90年間に及ぶ貴重な記録といえます。

 ただし、太平洋戦争末期から戦後直後にあたる昭和19年(1944年)から同22年にかけての4年間は、巡拝に参加しなかったようです。なお、東葛・印旛大師講に残された史料によると、この4年間の中で、終戦の昭和20年のみが巡拝・結願ともに中止となっています。なお、戦前は5月3日から巡拝に加わり、5日までの3日間同行していたようですが、戦後は5月5日の結願の日のみ参加することに変わっています。以降は平成10年(1998年)までは毎年継続され、翌11年は記載がなく、同12年が最後の参加となりました。

 写真で掲載したのは、明治45年(1912年)5月5日の鎌ケ谷村(現市)佐津間の請取の部分です。灯明料は1円でした。後年の記載から現在の10万円の価値があったものとみられます。ちなみに、その後の市域の地区の記載は、大正12年(1923年)5月3日の佐津間、同14年5月4日の佐津間、同年5月5日の初富、昭和11年(1936年)5月3日の佐津間、同14年5月3日の初富、同15年5月3日の佐津間、同16年5月3日の初富、同26年5月5日の初富(以降はすべて結願の地区)、同28年5月5日の佐津間、同35年5月5日の粟野、同41年5月5日の初富、同42年5月5日の軽井沢、平成元年(1989年)5月5日の佐津間、同6年5月5日の粟野・初富、の14例です。

このように、地区を別にする同種の講との交流は、県内では出羽三山(でわさんざん)講や富士(ふじ)講などでも確認できます。個人や家における祝儀(しゅうぎ)不祝儀(ぶしゅうぎ)のやりとりと同様の意味があったものと考えられます。
 なお、東葛・印旛大師講と同じような88か所巡拝は、千葉県下では40例確認されています。多くは、近世中期から近代にかけて誕生したものですが、市域鎌ケ谷が加わっていた隣接する吉橋(よしはし)大師講のように、講による巡拝が途絶えたものが少なくありません。しかし、残された史料によってその様子が復元できることがあります。今後も史料の発掘に努めていきたいと思います。

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