更新日:2026年1月20日
令和6年5月17日に、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、民法等の一部を改正する法律が成立しました。この法律では、こどもを養育する親の責務を明確化するとともに、親権、養育費、親子交流などに関するルールを見直しており、令和8年4月1日に施行されます。
父母が、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されています。
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの心身の健全な発達を図るため、こどもを養育する責務を負います。その際には、こどもの意見に耳を傾け、その意見を適切な形で尊重することを含め、こどもの人格を尊重しなければなりません。
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを扶養する責務を負います。この扶養の程度は、こどもが親と同程度の水準の生活を維持することができるようなもの(生活保持義務)でなければなりません。
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければなりません。下記のようなことは、この義務に違反する場合があります(ただし、身体的・精神的DVや虐待等から逃げるなど、正当な理由がある場合は、ルールに違反しません)。
義務に違反した場合に想定される事項については、
法務省の解説資料(外部サイト)をご覧ください。
親権(こどもの面倒をみたり、こどもの財産を管理したりすること)は、こどもの利益のために行使しなければなりません。
父母の離婚後の親権者の定めの選択肢が広がり、離婚後の父母双方を親権者と定めることができるようになります。
父母が、その協議により、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。
家庭裁判所が、父母とこどもとの関係や、父と母との関係などの様々な事情を考慮した上で、こどもの利益の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。この裁判手続では、家庭裁判所は、父母それぞれから意見を聴かなければならず、こどもの意思を把握するよう努めなければなりません。
次のような場合には、家庭裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています。
【備考】
父母双方が親権者である場合の親権の行使方法のルールが明確化されています。
親権は、父母が共同して行います。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他方が行います。
次のような場合は、親権の単独行使ができます。
特定の事項について、家庭裁判所の手続で親権行使者を定めることができます。
日々の生活の中で生じる監護教育に関する行為で、こどもに重大な影響を与えないものをいいます。
| 日常の行為に当たる例(単独行使可) | 日常の行為に当たらない例(共同行使) |
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父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害するおそれがある急迫の事情(DVや虐待からの避難やこどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合など)があるときは、日常の行為にあたらないものについても、父母の一方が単独で親権を行うことができます。
父母の離婚後のこどもの監護に関するルールが明確化されています。
父母が離婚するときは、こどもの監護の分担についての定めをすることができます。この定めをするに当たっては、こどもの利益を最も優先して考慮しなければなりません。監護の分担の例としては、次のような定めが考えられます。
離婚後の父母双方を親権者とした場合であっても、その一方を「監護者」と定めることで、こどもの監護をその一方に委ねることができます。このような定めがされた場合には、「監護者」は、日常の行為に限らず、こどもの監護教育や居所・職業の決定を、単独ですることができます。「監護者」でない親権者は、監護者がこどもの監護等をすることを妨害してはなりませんが、監護者による監護等を妨害しない範囲であれば、親子交流の機会などに、こどもの監護をすることができます。
これまでの民法では、同居親と別居親の間で養育費の支払を取り決めていたとしても、別居親が養育費の支払を怠ったときに別居親の財産を差し押さえるためには、公正証書や調停調書、審判書などの「債務名義」が必要でした。今回の改正により、養育費債権に「先取特権」と呼ばれる優先権が付与されるため、債務名義がなくても、養育費の取決めの際に父母間で作成した文書に基づいて、差押えの手続を申し立てることができるようになります。
離婚のときに養育費の取決めをしていなくても、離婚のときから引き続きこどもの監護を主として行う父母は、他方に対して、一定額の「法定養育費」を請求することができるようになります。また、法定養育費の支払がされないときは、差押えの手続を申し立てることができます。
【備考】法定養育費は、あくまでも養育費の取決めをするまでの暫定的・補充的なものです。こどもの健やかな成長を支えるためには、父母の協議や家庭裁判所の手続により、各自の収入などを踏まえた適正な額の養育費の取決めをしていただくことが重要です。
(1)財産開示手続 養育費の支払義務者は、その保有する財産を開示しなければならない
(2)情報提供命令 市区町村に対し、養育費の支払義務者の給与情報の提供を命じる
(3)債権差押命令 判明した給与債権を差し押さえる
という一連の手続を申請することができるようになります。
家庭裁判所は、調停・審判において、こどもの利益を最優先に考慮して親子交流の定めをします。その際には、適切な親子交流を実現するため、資料を収集して調査をしたり、父母との間で様々な調整をします。こうした調査や調整に当たっては、手続中に親子交流を試行的に実施し、その状況や結果を把握することが望ましい場合があります。そこで、今回の改正では、親子交流の試行的実施に関する制度を設けています。
婚姻中別居の場合の親子交流について、次のようなルールとなります。
(1)婚姻中別居の場合の親子交流については父母の協議により定める。
(2)協議が成立しない場合には、家庭裁判所の審判等により定める。
(3)(1)や(2)に当たっては、こどもの利益を最優先に考慮する。
これまで民法には父母以外の親族(例えば、祖父母等)とこどもとの交流に関する規定はありませんでした。しかし、例えば、祖父母等とこどもとの間に親子関係に準ずるような親密な関係があったような場合には、父母の離婚後も、交流を継続することがこどもにとって望ましい場合があります。そこで、今回の改正では、こどもの利益のため特に必要があるときは、家庭裁判所は、父母以外の親族とこどもとの交流を実施するよう定めることができることとしています。
健康福祉部 こども支援課 こども総合相談室