かまがや取材日記 終戦80年 後世に伝えたい鎌ケ谷市民の戦争体験資料 令和7年7月22日
更新日:2025年7月29日
軍服や日の丸などの展示品
鎌ケ谷市郷土資料館では、第30回ミニ展示「終戦80年 後世に伝えたい鎌ケ谷市民の戦争関係資料」が開かれています。
今年は太平洋戦争終戦から80年の節目の年です。この機会に戦時中の鎌ケ谷を振り返ってもらおうと、同館がこれまでに収集した市関連の戦争関係資料約270点を展示しています。内訳は写真が約80点、軍服、従軍記章などモノ資料が約190点で、ほとんどが日中戦争、太平洋戦争時のものです。
市域には小規模な爆撃や機銃掃射はあったようですが、大規模な空襲はありませんでした。そのため悲惨な状況を直接示す資料は見られないのですが、それでも当時の厳しさはひしひしと伝わってきます。
写真では、市と松戸市にまたがる松戸飛行場(現・陸上自衛隊松戸駐屯地)で1945年5月18日に撮られたものが目を引きました。陸軍の特別攻撃隊「第45振武隊」が出発する際の隊員たちの姿を写した数枚の写真です。見送りの人たちに笑顔を向けている隊員も見られます。でもこの10日後、隊員たちは沖縄近海で米軍艦船に戦闘機で体当たりし、命を落としているのです。見送られる人、見送る人の心情を察すると胸が痛みます。
モノ資料では、千人針の前で足が止まりました。千人針とは、千人の女性が一針ずつ縫ったものを身に着けていると敵の弾が当たらないとされていたことから、手ぬぐいなどに刺繍して出征兵士に持たせたものです。展示品の千人針は虎を描いた刺繍で、死線(4銭)をこえる5銭玉と、苦戦(9銭)をこえる10銭玉も縫い込んでありました。兵士に生きて帰ってほしいとの強い思いが伝わってきます。
このほか、家族とやり取りした手紙や資金調達のため発行された戦時国債、占領地で流通した通貨の軍票なども展示されています。
これらの資料は80年以上前のものですが、戦争は現在もウクライナ、ガザなどで続いています。戦争は同時代の出来事で、世界では日々、新たな戦争関係資料が生まれています。郷土資料館に足を運び、平和について考えてみてください。
展示は入館無料で、期間は9月28日までです。
戦場へ出発する第45振武隊の隊員達
5銭玉と10銭玉が縫い込まれた千人針
軍票と従軍記章
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