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第12回 明治時代の鎌ケ谷を撮影した写真(3) 明尋常小学校増築記念

更新日:2023年8月1日

 今回は、破けがあり、かつ退色(たいしょく)が進んだ古い1枚の写真をあえて紹介いたします。この写真は、市内の個人宅で他の歴史資料や写真とともに保存されていました。


写真1  明尋常小学校校舎増築記念(明治44年〈1911〉9月) 個人蔵

 さて、写真の左上の部分に「明校増築記念撮影」という縦書き文字の貼り紙があります。このヒントにより、写真は、今から112年前の明治44年(1911)9月2日のものであることが判明しました。
 まず、(あきら)校ですが、正式には初富に所在した「明尋常小学校(あきらじんじょうしょうがっこう)」といいました。明治24年(1891)4月5日、それまでの「湯浅里(ゆあさざと)尋常小学校」の校名を改称して誕生し、大正11年(1922)5月21日まで存続した鎌ケ谷村立の小学校でした。翌5月22日付けで、同校は鎌ケ谷村内に並立していた鎌ケ谷・中野両尋常小学校と合併し、鎌ケ谷尋常・高等小学校(現在の鎌ケ谷小学校の前身)が誕生したことにより、その第三分校となりました。第三分校は、第2次世界大戦後の昭和39年(1964)に再独立し、北部小学校となりました。なお、戦前の学校制度では、小学校は完全な義務制(当初4年制、明治41年4月から6年制)の尋常小学校とその卒業者の一部が進学して学ぶ高等小学校(2年から4年制)がありました。
 さて、学校が永久に保存しておくべき文書の一つに「学校沿革誌(がっこうえんかくし)」があります。文字通り、学校の主な歴史を編年で記載した帳簿です。誕生してから、合併により歴史を閉じるまでの明尋常小学校の「沿革誌」が、鎌ケ谷小学校で大切に保存されています。その内容は他の「沿革誌」に見られない詳細な記録で、校内のみにとどまらず、学区(粟野・軽井沢・佐津間・初富)や鎌ケ谷村内の状況も記した貴重な歴史資料となっています。
 この「明尋常小学校沿革誌」に同校の校舎増築のことが記載されています。そもそも同校の校舎は、明治27年(1894)2月、当時村内に所在した皇室(こうしつ)御料地(ごりょうち)内に建てられていた有栖川(ありすのがわの)宮家(みやけ)養蚕(ようさん)室を購入し、改造したものでした。しかし、前述のように、尋常小学校の年限が6年となったことにともない、明治42年12月ころから、小学校側より村当局へ校舎増築の提案がなされました。翌43年12月、新規に増築するという計画が変更され、中山村立中山尋常小学校(現市川市立中山小学校)の廃校舎を購入し、それを移築・改修して校舎とすることになりました。工事は翌44年6月2日に竣工(しゅんこう)しました。そして、同年9月2日、工事委員らが来校して、移転式と祝宴(しゅくえん)が挙行されました。写真はその時のものとみられます。ちなみに、増築された校舎には1・2・5・6年生が収容され、旧校舎には3・4年生の教室がありました。聞き取り調査によると、新校舎は地形的に高い場所にあるため「(うえ)の学校」、旧校舎は低い場所にあるため「(した)の学校」とよばれたそうです。なお、明尋常小学校と第三分校前半の校時代は、初富字林跡(あざはやしあと)に所在しました。後、昭和16年(1941)に粟野へと移転(現在の北部小学校の場所)したため、往時をしのぶものはほとんどありません。初富所在期の第三分校児童の集合写真は、この「上の学校」前で撮影されたものが多く知られています。

 ところで、写真には、前列で椅子に座った9名と後列で立った12名の合計21名が見えます。このうち、前列の左側から4人めが石毛(いしげ)広治(ひろじ)校長(以下敬称略の「石毛」と表記)です。石毛は、2年前の明治42年12月、船橋町立九日市(ここのかいち)尋常小学校(現船橋市立船橋小学校)から訓導(くんどう)【注釈1】兼校長として赴任してきました。この人が、「明尋常小学校沿革誌」の記事の大半を執筆したものとみられます。赴任の日、石毛は、教員の勤務状況の悪さに驚くとともに、児童の身体・衣服の不潔さと元気のなさ、そして、教室に藁屑(わらくず)堆積(たいせき)しているなどの劣悪な教育環境に「悲憤(ひふん)落膽(らくたん)」【注釈2】するも、一大学校改革を志しました。以降大正11年3月まで、足かけ14年にわたって地域を巻き込んだ様々な教育実践を行うのでした。その一つが、鎌ケ谷村内に存在していなかった高等小学校を設けることで、これが鎌ケ谷尋常・高等小学校となって結実したのでした。
 このように、劣化した写真で、情報は切れ切れであっても、他の歴史資料と照合することによって、新しい事実が判明していくことがあります。
 断片であっても大事な資料の場合もありますので、是非情報をお寄せください。


注釈1:旧制尋常小学校の正規教員
注釈2:悲しみいきどおり、がっかりした様子

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